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【おすすめは?】グロービスMBAシリーズ全18冊のレビュー

MBAの基礎を網羅的にまとめたグロービスのMBAシリーズを全巻読みました。

この記事では、同分野の本との比較も交えながらグロービスのMBAシリーズをレビューしていきます。(各タイトルのおすすめ度を★5段階で評価しています。)

結果は以下のとおりです。

タイトルおすすめ度
マネジメント・ブック★★★★★
マネジメント・ブックⅡ★★
経営戦略★★★
マーケティング★★★
アカウンティング★★★★
ファイナンス★★★★★
リーダーシップ★★
組織と人材マネジメント★★★
定量分析と意思決定★★
クリティカルシンキング★★★
クリティカルシンキングⅡ★★
ビジネス・ライティング★★
ゲーム理論★★★★
オペレーション戦略★★
ビジネスプラン★★★★★
事業開発マネジメント★★★
事業戦略★★
ミドルマネジメント★★

★★★★★:同じジャンルの中ではクオリティの高い必読書
★★★★:必読とまでは言わないが十分におすすめ
★★★:良書だが他の書でも学習可能
★★:他の書で代替可能

目次

経営学の基礎を網羅的に学べる本

グロービスMBAシリーズには、経営学の基礎を網羅的に学べるマネジメントブックがあります。

マネジメントブック おすすめ度★★★★★

とりあえず経営学では何を学ぶのかを手っ取り早く知りたい。

そんな方におすすめなのが、こちらのマネジメントブックです。

私も経営学に興味を持った20代のときに、一番最初に買ったのがこの本でした。

本書では、経営戦略、マーケティング、会計、ファイナンス、組織管理、IT、ゲーム理論・交渉術の7つのテーマに関して、基礎的なフレームワークを初心者にもわかりやすくまとめられています。

各テーマの詳細までは触れられていないので、深く学びたい方には物足りない内容でしょうが、これから基礎を学ぶ人にはバイブルとして活用できる一冊だと思います。

マネジメントブックⅡ おすすめ度★★

上記のマネジメントブックが、MBAの基礎科目の内容を網羅したものなら、こちらは上級科目の内容を網羅したものです。

この本でカバーしているテーマは、アントレプレナーシップ(起業家精神)、サービスマネジメント、テクノロジーマネジメント、グローバル経営、組織変革、経済学の6つです。

上級科目だけあって、マネジメントブックのテーマに比べると応用的かつ、限定的なテーマが多いことは否めません。

MBAの基礎を学びたい方にとっては、優先度の低いテーマになりますし、応用的なことを学びたい方にとっては書かれていることが概要レベル過ぎて、実務には生かしにくいのではないかと思います。

経営学の基礎科目を掘り下げて学べる本

ここからは、経営学の各テーマ(科目)ごとに掘り下げて学べる本です。

経営戦略 おすすめ度★★★

世の中には著名な学者が考えたさまざまな経営戦略のフレームワークがありますが、そのフレームワークと活用例を一冊に収めたのがこちらの「経営戦略」です。

事業の経済性、アドバンテージマトリックス、バリューチェーンと戦略を考える上でよく活用されるフレームワークや、3C分析等を活用した環境分析の方法、VRIO分析を用いた自社の優位性やリソースの活用方法など。

会社の経営戦略・事業戦略を考える上で今でも広く活用されているフレームワークばかりが並んでいます。

会社の事業活動を1つの上の視点に立って考えるのに役立つ一冊です。

一方で、これらのフレームワークを使って、どのようなプロセスで戦略を立案するか?といった実務面での課題に対する深堀りが弱いことがデメリットだと思っています。

マーケティング おすすめ度★★★

マーケティング戦略の立案方法をマーケティングプロセスのセオリーに沿って解説しているのが、こちらの「マーケティング」です。

環境分析と市場機会の発見、セグメンテーションとターゲティング、ポジショニング、マーケティングの4Pなどマーケティング初学者がまず最初に知るべき概念が1つずつ丁寧に掘り下げて書かれています。

基礎編としては十分機能すると思いますが、実務で活用できるレベルでマーケティングを考えたいというのであれば、やや不足感があることは否めません。

アカウンティング おすすめ度★★★★

会計(アカウンティング)の基礎を記した本は、あくまで会計の視点からの記載が多い中で、本書はビジネスの視点で会計をどのように解釈し生かすか?ということが書かれています。

前半では企業業績をルールに則って表現するための財務会計が、後半では意思決定や組織管理をするために必要となる管理会計について基本的な概念を解説しています。

会計と聞くと身構えてしまうけど、ビジネスパーソンとして基本的な会計の知識は身につけたい。

そんな方におすすめの一冊です。

ファイナンス おすすめ度★★★★★

会計学(アカウンティング)がルールに則って会社を管理するための学問なら、ファイナンスは財務の視点から企業の価値を最大限向上させるための指針を見出すための学問と言えます。

多くの戦略オプションの中から適切なものを選択し判断する際に、ファイナンスの視点なしで語ることはできません。

そんなファイナンス(特にコーポレート・ファイナンス)の基本概念を過不足なくまとめたのが、こちらの「ファイナンス」です。

初学者向けに丁寧に書かれているので、とりあえずファイナンスの知識を得たいという方にはこれ一冊でも十分な内容になっています。

リーダーシップ おすすめ度★★

リーダーシップの理論や考え方が網羅的に描かれている一冊です。

リーダーシップ理論の変遷、リーダーシップを構成する要素、リーダーシップをどう磨き、どう開発するか?という視点でさまざまなフレームワークがまとめられています。

リーダーシップ理論を学習する上では過不足ない内容だとは思いますが、一方でリーダーシップを現場で実践するための方法論に乏しい印象を受けます。

組織と人材マネジメント おすすめ度★★★

人材を管理・マネジメントするための組織のあり方、構造、マネジメントシステムなどを網羅的におさえた一冊です。

よい組織文化はどのように生まれるのか?組織構造ごとのメリット・デメリット、採用、配置、評価、報酬といった人事システムでポイントとなる要素の解説など、人事を考える上での主要論点が全て描かれています。

一方で、日々の実務にどう生かすか?という点だと必ずしも使いやすい構成にはなっておらず、人事以外の人にとってはやや実務的に使いにくい内容であることは否めません。

定量分析と意思決定 おすすめ度★★

ビジネスにおける定量的な分析手法と、分析を元にした意思決定についてまとめられた一冊です。

定量分析の要諦、損益分岐分析やディシジョンツリーといった定量分析の基本的なフレームワーク、マーケティング、研究開発、人事等、各部門において考えるべき定量指標や外部環境の変化を表す定量指標などを紹介。

ビジネスにおいて確認すべき定量指標を一望することはできますが、本来ビジネス指標は各テーマのコンセプトに紐付いて理解されるべきものなので、この一冊で学ぶ意義は正直薄いと感じています。

分析手法を学びたいのであれば、こちらの本をおすすめします。

論理思考を学べる本

論理思考を学ぶための本です。

クリティカルシンキング おすすめ度★★★

前半でピラミッドストラクチャーをはじめとした論理の構造を作るための基本的な考え方を解説、後半ではロジックツリーをはじめとした問題を特定し解決するための基本的な考え方を解説しています。

最後に仮説思考のポイントもおさえるなど、論理思考の初学者にとっては論理思考力を鍛えるための基礎を習得できる一冊になるでしょう。

一方で、論理思考の分野は他にもさまざまな良書が出ていることに加えて、ビジネスの基礎として深く理解するべきテーマであることから、必ずしもこの本で学習しなくてもよいとは思います。

クリティカルシンキングⅡ おすすめ度★★

上記クリティカルシンキングの続編として、コミュニケーションに焦点をあてた一冊です。

聞き手の理解、メッセージの伝達方法、説得、交渉、コーチング、会議の運営方法など、コミュニケーションに関わるテーマが網羅的にまとめられています。

仕事の失敗の多くがコミュニケーションに起因するものなので、そういう観点では有用な一冊と言えますが、一方で実務で活用するレベルとして考えるとやや不足感があることは否めません。

ビジネス・ライティング おすすめ度★★

ビジネスにおけるライティングに焦点をあてて解説。

メール文章や、レポート、メルマガなど、さまざまなシーンにおいて人を動かすためのライティング技術や事例を紹介しています。

ライティングに関する概要を網羅されているものの、ライティングに関しては他にも良書が多い中で、あえてグロービスMBAシリーズのものを買う必要があるか?というと、やや疑問の残る一冊ではあります。

ゲーム理論 おすすめ度★★★★

ゲーム理論とは、人々の経済行動をモデル化して考えるための議論で、そのゲーム理論について一冊をまるっと割いて書かれたのがこちらの本です。

囚人のジレンマ、ナッシュ均衡、混合戦略といった基礎編から、情報非対称ゲームやオークションなどの応用編まで、これ一冊でゲーム理論の基礎をしっかり習得できるというレベルで仕上がっています。

ゲーム理論の詳細が豊富な実例に基づいて書かれているので、ゲーム理論を学びたいという方、考える力を身に着けたいという方におすすめできる一冊です。

経営学の応用科目を掘り下げて学べる本

次に紹介する4冊は、

オペレーション戦略 おすすめ度★★

企業の競争優位の構築方法をオペレーションという観点で描いたものです。

企業オペレーションを調達、研究開発、SCM(サプライチェーン・マネジメント)、CRM(カスタマーリレーションシップ・マネジメント)、管理業務の5つに分けて、それぞれの役割や論点の概要がまとめられています。

各機能のオペレーションにおける論点を整理するには適していますが、実務で活用できる余地は多くない印象です。

ビジネスプラン おすすめ度★★★★★

ビジネスプランを構成する要素と、それぞれの構成要素で検討されるべきポイントがわかりやすくまとめられたものです。

本書に書かれている一つひとつの論点に関する基礎知識は、グロービスMBAシリーズの他の本でも学ぶことができます。

しかし、本書はビジネスプランの完成という軸に沿って経営学の各テーマの基礎の活用方法を提示されているので、ビジネスプランを作る際のバイブルとして活用できるのが大きな特徴です。

これまでにビジネスプランを作ったことがない、事業計画をまとめる仕事が初めて、そんな方にはうってつけの一冊です。

事業開発マネジメント おすすめ度★★★

さまざまな事例を元に事業開発をするための必要知識とプロセスを網羅した一冊です。

本書は単独としては、とても有用だと思いますが、上記「ビジネスプラン」と内容やコンセプトが若干重なっています。

そのため、どちらか一冊あればよいということであれば、こちらの「事業開発マネジメント」ではなく、上記の「ビジネスプラン」があれば十分ではないかと考えています。

事業戦略 おすすめ度★★

事業戦略の基本的なフレームワークを実例とともに紹介しています。

上記「経営戦略」との違いがわかりにくく、これを経営戦略とは別で買う理由は正直なところ見当たりません(著者が違うので、同じフレームワークを違った切り口から描写されているところはありますが)。

ミドルマネジメント おすすめ度★★

組織におけるミドルマネジメントの役割を網羅的にまとめた一冊です。

業務、人、地位、そして自部署の地位をどうやってマネジメントするか、経営学に出てくる理論を用いながら解説しています。

後半では、イノベーションや組織変革など、難易度の高い課題に中間管理職としてどのように向き合うかについても論じられています。

新任マネージャー向けに、中間管理職のあり方を網羅的にまとめている一方で、概要にとどまる部分も多く掘り下げ度合いは浅い印象です。

【6冊全部を無料で読む方法も】実感するMBAシリーズ

グロービスの出している本には、「グロービスMBAシリーズ」とは別に「グロービスの実感するMBAシリーズ」があります。

「グロービスの実感するMBAシリーズ」とは、経営学のフレームワークを実務にどのように生かすか?という観点で、グロービスの講師陣によってまとめられたものです。

以下のように全部で6冊あります。

  1. 自問力のリーダーシップ
  2. ビジネス仮説力の磨き方
  3. 社内を動かす力
  4. ストーリーで学ぶマーケティングの基本
  5. ビジネス数字力を鍛える
  6. 法人営業利益の法則

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